「結婚式の準備に彼が協力してくれない」
プランナーをしていると、そんな悩みをよく新婦さまから打ち明けられます。
でも、このエピソードはまったく逆。
逆どころか、新婦さまも知らないうちに、新郎さまがすばらしいパーティを作っていた…という、今でもたびたび思い出す素敵なお話です。
「親と仲が悪いんです。だから友人だけで1.5次会をします」
その新婦さまは、親御さんとケンカして家を飛び出し、絶縁状態でした。
新郎さまは新婦さまを気遣って、友人だけの1.5次会を計画されていました。
ところが、打合せを重ねるうちに、新婦さまの口から「父」「母」という言葉が出てくるようになったので、思いきってたずねてみたのです。
私)「もしかしたら、親御さんと仲直りしたいと思っていませんか?」
新婦さま)「・・・」
私)「もし1ミリでも思っているなら謝りに行きなさい。今行かないと、将来、子どもが生まれて親になったとき、『あのとき仲直りしていたら…』って後悔しますよ」
この時の、新婦さまと私の会話を、実は、新郎さまが聞いていらっしゃったんですね。
「彼女の実家に、ひとりで行って来ました」
次の打合せの席で突然、新郎さまがこうおっしゃって、新婦さまも私もびっくりしてしまいました。
聞けば新郎さまは、彼女のご両親にウエディングドレス姿を見てほしいと思っていたのだそう。
その想いと、彼女が仲直りをしたいと思っていること、そして何より、ご自身の決意や覚悟をわかっていただくために、ひとりでご両親に会いに行かれたのです。
新郎さまの話を聞いた新婦さまの、嬉しそうなお顔といったら!
好きな人の大きな愛情に包まれているとき、女性はこんなにも輝くんですね。
あらためて、おふたりで親御さんに挨拶しに行かれたのは言うまでもありません。
「1.5次会じゃなく、きちんと披露宴をします」
さて、めでたく仲直りができた新婦さまにも、大きな変化が訪れていました。
「ここまでがんばってくれた彼のことを、私の親戚にもちゃんと紹介したいです」
その結果、ご両家、ご親族、たくさんのご友人に集まっていただいて、素晴らしい披露宴になりました。
結婚式は、準備期間からすでに始まっています。
おふたりがどんな人生を歩んできて、誰のことを大事に思っているかーーそんな「振り返り」を経て、たくさんのプロセスを踏んでこそ、おふたりならではの結婚式当日を迎えることができるのです。
だからぜひ、パーティの内容だけにこだわるのではなく、準備や打合せの一つひとつを楽しんでくださいね。
その結果がきっと、素晴らしいパーティにつながっていくはずですから。
奥村 まみ Mami Okumura |
レストランウエディングのプロデュース会社を経て、バリューマネジメント株式会社にてウエディングプランナー歴10年。豊富な現場経験と実績をもつゼネラルマネージャー。
バリューマネジメントグループ