家族だけの結婚式、とくに最近増えているスタイルですね。まずは、家族結婚式と一般的な結婚式のちがいをいくつか挙げてみたいと思います。
一般的な結婚式(披露宴) |
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友人や職場の上司を招待する |
プロの司会者を立てる |
大人数が着席できる披露宴会場で行う |
新郎新婦または両家にゆかりのある場所で行う |
ウエディングドレスとカラードレスを着ることが多い |
家族結婚式 |
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基本的に家族と親族のみで行う 家族結婚式といっても人数制限はなく、家族ぐるみでお付き合いをしている親友を招待されることもあります |
新郎が進行役を務めることが多い 司会者の代わりに会食の進行役を新郎が務めますが、会場によってはスタッフが進行役をしてくれることも |
少人数用の個室で行う 家族結婚式のための個室を完備している会場なら、スタッフの動線やサービス面でも安心です |
家族の思い出になるような場所が選べる 家族旅行の行き先を選ぶように趣のある場所を選べば、そこが家族みんなにとって思い出の場所になるのも家族結婚式の魅力です |
基本的には1着で、写真撮影を楽しむ方も お色直しをしない代わりに、和装などで前撮りをして記念写真を残したいという新郎新婦が多いです |
自由度が高いからこそ、快適な環境と付加価値が重要に
家族結婚式には、職場の上司や友人を招かないため、スピーチや余興の準備がいりません。そのぶん、家族水入らずのアットホームな結婚式になるのが魅力で、お色直しをせずに会話の時間をゆっくり設けたり、お料理の美味しさにこだわる方が多いのも特徴だといえるでしょう。
気をつけたいのは、自由度が高いからこそ快適な環境を選ぶべきだということです。少人数の会食だからといって待合室のような場所をあてがわれたり、キッチンが遠いからといってせっかくのお料理が冷めてしまったり。残念ながら、会場によってはまだまだ家族結婚式のための個室が完備されていないこともあるので、見学の際には必ずチェックしてください。
また、ゲストが家族だけという家族結婚式では、リゾートウエディングも候補の1つかと思いますが、結婚後も家族みんなで訪れたい場所が選べるのも、家族結婚式ならでは。例えば、結婚式をした会場でお父様の還暦祝いの会食をしたり、結婚式をした場所に家族旅行で訪れたり。そんな“結婚式のあとの付加価値”がある場所・会場を探すのもおすすめです。
おふたりだけでなく、スタッフもご家族と向き合うことが大切
大勢のゲストをお招きすることのない家族結婚式は、会場スタッフとの距離感も縮まります。だからぜひ、スタッフが家族の一員のように祝ってくれる、そんなあたたかい会場を選んでほしいと思います。実はこれ、私自身がお手伝いした家族結婚式で、心底そう思ったからこそ言えることなのです。
そのご家族との出会いのきっかけは、2013年、夏のことでした。
ご相談に来られたのは新婦さまとそのご友人。聞けば、おふたりが一緒に暮らし始めて5年。新郎さまは結婚式に興味がなく、そんな新郎さまに合わせるように新婦さまも入籍だけにしておこうかと考えていたところ、実家に帰った時に、お父様のこんな独り言を聞いてしまったのです。
「娘のウエディングドレス姿、俺は見れないんだろうな・・・」
新婦さまは2人姉妹のお姉さん。妹様も結婚はしたものの、結婚式は挙げておらず、お父様からすれば新婦さまの結婚が最後のチャンスだったのです。しかも妹様に比べ、お姉さんである新婦さまは、家族に迷惑をかけっぱなし。だからこそ新婦さまは、そのお父様の言葉にハッとしていろんな想いがこみ上げてきたようです。迷惑をかけた子どもの頃のことや、社会人になってからもなかなか独り立ちできなくて心配かけたこと、そして、そんな自分をずっと見守ってきてくれた家族の存在。
「私、家族に恩返しがしたいんです」
その言葉を聞いたとき、私はもう彼女のことを単なる“お客様”として捉えることができないでいました。どうか、彼女が親御さんに感謝の気持ちを伝えられますように。ふたつの家族の絆が深まりますように。なにより、お二人が長い交際期間にちゃんとケジメをつけて、本物の夫婦になれますように・・・。すると、私たちの会話が聞こえたのでしょうか。ある男性スタッフがやってきて、こう言いました。
「すみません、男性の意見として聞いていただいてもいいですか?」
そうして彼は、結婚式が男性にとってどれほど大きな意味があるかを語り始めたのです。さすがに私もびっくりしましたが、そんな私たちの様子を見ていた新婦さまは・・・
「やっぱり、結婚式がしたいです。彼にはまだ何も言ってませんが、こうして私が決めることによって、私の決意が彼に伝わるといいなと思って・・・」
そう言って新婦さまは、新郎さまに内緒で申込書にサインをされました。
結婚式に対する新婦さまの「覚悟」や「決意」を感じた瞬間でもありました。
こうして、3週間後にお越しになる新郎さまの「初めての会場見学」のために、私たち会場スタッフと新婦さまの二人三脚が始まりました。
まず、私たちは新婦さまと協力して、あることに専念しました。
それは、これまで歩んできたお互いの人生を振り返ってみることと、家族とはどんな存在であるかを考えてみること。
次第に、新郎さまの気持ちに変化が起きていったようです。
その証拠に、さっきまであまり自分からお話しされなかった新郎さまが、新婦さまの目をまっすぐ見つめてこうおっしゃったのです。
「(結婚式するって)決めてたんだよね?」
その優しい表情を見て、私はこう思いました。
新郎さまは、新婦さまの家族を思いやる気持ちに気付いて、理解されたんだ!
そして新郎さま自身もほんとうは、たったひとりの家族であるお父様に喜んでもらいたかったんじゃないかな。
次の瞬間、私は自然とこんな言葉を口にしていました。
「おふたりにとってご家族とは、かけがえのない存在だったのですね」
この言葉は、新婦さまとはじめてお会いしたその日から、おふたりと話していく中で私たちの心の中に家族の一員であるかのような気持ちが育っていったからこそ、生まれた言葉だったのです。
そして結婚式当日は、まるで自分の家族の結婚式のように感動したことを、今でもよく覚えています。挙式がおわってチャペルの扉が閉まると同時に、新婦さまが「これって現実ですか?夢じゃないですよね?」と最高の笑顔で涙ながらに伝えてくださったこと。披露宴おひらきの際、新郎さまがお父様に、「親父の息子でほんとに良かった」と言葉を詰まらせながら感謝を伝えられたこと。
結婚式をすることにより、ご家族に恩返しをしたいという新婦さまの願いがカタチとなった一日となりました。
さて、みなさんにとって家族とは、どんな存在ですか?
その答えを一緒に探し出し、ご家族への気持ちを伝える結婚式ができる会場・・・それは、スタッフ一人ひとりがご家族と向き合うことができる会場だと思います。
清水 真由季 Shimizu Mayuki |
大学卒業後、1部上場の大手ブライダル企業を経て、バリューマネジメントに入社。鮒鶴 KYOTO KAMOGAWA RESORTでプランナーとして経験を積み、現在はAKAGANE RESORT KYOTO HIGASHIYAMA1925でマネージャーとして活躍中。この会場を選んだ理由は「結婚式に本気で向き合い、業界全体の底上げを考え、他社にまでよい影響を与えるべきだという広い視野を、社員全員が持っているところが大好きだから」。
バリューマネジメントグループ